2015  謹賀新年

Posted January 6th, 2015 by Hikariko_Date

今年は、戦後70年という節目の年ですね。『戦争』という言葉で、私が真っ先に思い浮かべるのは、17歳の特攻隊員大石伍長が妹に送った遺書『静ちゃんへの手紙』です。http://youtu.be/nQ0AN524pF4 これを読んだなら、平和を祈らずにはいられません。そして、この節目の年に私が思うことは、父母、祖父母、先生がたへの『感謝の気持ち』です。

 私の両親は大連で終戦を迎えました。その時父は16歳、母は15歳。私が少女時代に、母の口から度々飛び出す言葉と言えば『ボロは着てても心は錦』でした。戦争で何もかも失っても、『大和魂』そして『日本人の誇り』だけは失いたくないという両親の思いが、家庭教育の様々な場面で伝わってきました。「努力して修得したピアノの技術は、誰も私から取り上げることはできない」と言うのがピアニストの母の口癖でした。これは、終戦にロシアが不可侵条約を破り満州に攻め込んで来た時、全てを失って日本へと向かう帰還船の中で、17歳の母が思ったことです。 そして小学校の入学式の朝、父が私に言った言葉は「いいか、背筋をピーンと伸ばし、話をする先生の目を真っすぐに見ろ! 三歩下がって師の影を踏まず。」でした。これは間違いなく、戦前の教育だと私は思うのです。私の父は非常に穏やかな性格で、うるさい事はほとんど言わない人でしたが、人生の要所要所で大切な事を確実に子供たちに伝えて来たと思います。私が小学校で教科書を貰って帰って来ると、父はその内容を見て嘆きました。その数日後父は、宮沢賢治の詩と徳川家康の言葉が書かれた衝立を買ってきました。

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク

決シテ瞋ラズ

イツモシヅカニワラッテヰル

一日ニ玄米四合ト

味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ

ソシテワスレズ

小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ

東ニ病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ

行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクヮヤソショウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒドリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

サウイフモノニ

ワタシハナリタイ

(宮沢賢治)

人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し。いそぐべからず。不自由を常とおもへば不足なし。こころに望おこらば、困窮したる時を思ひ出すべし。 堪忍は無事長久の基。いかりは敵とおもへ。勝事ばかりを知りてまくる事をしらざれば、害其身にいたる。おのれを責めて人を責めるな。及ばざるは過ぎたるゆりまされり(徳川家康)

小学校に入学したら、このくらいのことは学んでほしい。戦前の教育は、これくらいのレベルだったと父は言いたかったのでしょう。

 私が大学に入学したとき(私の専攻は数学でしたが)、当時『日数教』会長の松尾吉知先生が私たち学生に話したエピソードは、「終戦直後、私は息子の算数の授業を見て呆然とした。生徒が皆、歩き回っているのだ。何をしているのかと思えば、『買い物ごっこ』だという。戦前の日本なら、『鶴亀算』をやっているころだ。『敗戦で押し付けられたこの最悪の教育を、やすやすと受け入れる訳にはいかない!日本人の誇りをとりもどさなければ!!』と私は思ったよ。『平等』ということで、全員が同じ簡単なことをやる。意欲のある生徒に難しい事を教えようとすると『差別だ』という。差別とは何だ? 生徒は一人一人皆違うのに、全員同じ事をやる方が差別だろ! 君たちは、そう思わないか? しかし日本の算数と数学教育は、今や世界のトップレベルだ!」あの時の松尾先生の誇らしげな顔を忘れません。私たちが高校3年のころ使っていた『数学Ⅲ』の教科書の内容は素晴らしかったと思います。松尾先生のような気持ちの熱い先生がたがいて、あの時あの数学教育があったからこそ、日本人は今、ノーベル物理学賞が取れるのだと私は思うのです。「戦後日本は、憲法も教育も押し付けられ、アメリカに見事に解体された。」と嘆く人がいますが、確かにそうかもしれない… それでも戦後の日本人は、まんざら捨てたもんではないと私は思いたい。 人は押さえつけられれば押さえつけられるほど、『反発する力』が働くからです。その結果私たちは、実は見えないところで根を伸ばしてきたのだと。寒い冬に枯れ木が見えないところで根を伸ばすように。東日本大震災で、日本人の災害時にも取り乱す事の無い冷静な姿は、世界で高く評価されました。そして、小さなことかも知れませんが、私が住む瑞穂という街を、街中歩いてもゴミは一つも落ちていません。日本で財布を落とせば、必ずもどってきます。『負けるが勝ち!』今、日本人の民度は世界トップクラスです。また、『最近の若い者は…』と嘆く人がいますが、最近の若い人といえば、あのソチオリンピックの浅田真央ちゃんのフリーの演技には涙が出ました。http://youtu.be/5kGe6Sulrak 『いいぞ!やまとなでしこ。君は日本人の誇りだ!』と思いましたね! メダルなんかいらない。失敗しても、最後に日本中に感動を与える演技をしてくれればそれでいい。「ありがとう真央ちゃん」将に『負けるが勝ち!』。

敗戦から70年。私たちの父母、祖父母が築き上げて来たもを、しっかり受け継いでいきたい。百年後も二百年後も…

 さて幼児教育についていえば、小学校入学式の朝、父が私に言った言葉を私は教室の子供たちに伝えています。それは『学ぶ態度』です。『人がお話しているときは、真っすぐに話している人の目を見ようね』これは、1歳から躾けられる教育の見えない石垣の一つです。 見て下さい! この子たちの可愛らしい姿を(笑)

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