躾(掃除)

December 23rd, 2014

幼児期、私は兄と一緒に剣道の道場に通っていました。私の父が子供たちに武道を学ばせた理由は、ズバリ精神教育をしたかったからです。剣道の稽古は、まず『雑巾がけ』から始まりました。『雑巾がけ、黙想、そして稽古に入る』といった順序です。稽古の前に掃除をする。これには『精神的な意味』があると思うのです。『学び舎を清める』といったところでしょうか。剣道だけではなく、日本の学校では自分たちの教室は自分たちで掃除しますよね。まず先生が率先して掃除をする。その姿を見て、小さい子供たちも真似をして掃除をする。私たちはこれを当たり前にやっていますが、しかし外国人が見ると驚くのです。 私の長男がオーストラリアの高校に留学していたとき、学校のゴミをかたずけようとすると、周りのオーストリアの生徒たちが『それは、掃除夫の仕事だ』と言って驚いたそうです。日本にも掃除夫はいますが、自分たちが散らかしたものは皆自分たちで片付けるのが『日本人の常識』です。息子の通うオーストラリアの高校や大学では、主に南米から来た人が掃除をしていたそうですが、ある日掃除のおばさんに「いつも僕たちの学校を奇麗にしてくれてありがとう!」と息子がお礼を言うと、掃除のおばさんはニッコリ笑い『そんなこと言われたの初めてだよ! 可愛いね!」と言ったそうです。 今年のワールドカップ初戦敗北の後、日本のサポーターがゴミ拾いをして帰った事が、ブラジルで高く評価されています。また、サウジアラビアのある番組http://youtu.be/RXI5fPY9HqAでは、こうした日本人の考え方が戦後の日本の経済成長と関係あると紹介されています。私も子供たちに2歳から『自分たちの学ぶ部屋は、自分たちで掃除をする』ように躾ています。『城を建てる前にはまず石垣を』と私は若いお母さんたちにいつも話していますが、こうした躾が教育の見えない『石垣』となるのです。 見てください!この子たちの可愛い姿を! 

先日、優等生の3歳児Fちゃんがお弁当を床に落として大泣きになりました。3歳で読み書きできて、諺カルタも全部覚え意味や使い方まで知っているFちゃん。この優等生のFちゃんが今一番いやなことは、みんなの前で失敗することです。気性の激しいFちゃんは、1時間大泣きしました。優等生ほど、失敗と挫折の経験を積むことが大事だと私は思っています。 私の次男は、失敗の少ない子供でした。次男は、幼稚園や小学校・中学校の保護者面談ではいつも「文武両道で生活態度もよく、言う事は何もありません」と言われ続けてきました。サッカーでは幼稚園のころからPKは必ず一番に蹴り、小学校の4年まで一度も外したことがなかったのです。そんな次男がPKを外したのは、御殿場遠征の時でした。今までどのコーチも次男をPKの1番にしていたのです。しかしその日、次男はPK2番でした。PK1番になった男の子は、プレッシャーで外してしまいました。後で「1番のプレッシャーで足がガタガタ震えた」と話していました。一方次男は『一体なぜ自分は2番になったんだろう? 自分のどのプレーが、コーチの信頼を失ったのだろう?』と雑念がクルクル頭の中を回ったそうです。そして、ボールはバーを超えていきました。3番目に蹴った子は、今まで一度もPKを外したことがない次男がPKを外したのを見て泣き出しました。何度もコーチの方を振り返り、しばらく立ちすくんでいました。そしてPKは外れ。選手たちは次々とPKを外し、この試合は負け試合となりました。試合の後でコーチから「いつも同じ選手ばかりがPK1番を蹴るのではなく、たまには違う選手に経験させてみたかったんだ。」という説明がありました。「それなら最初に子供たちに説明してくれれば良かったのに!」と腹をたてる保護者もいましたが、私は良い経験をしたと思っています。『人生何が起きるかわからない』そういう意味で、また失敗の少ない次男にとって、あれは貴重な経験だったと思うからです。 子供をよく観察すると、失敗する瞬間がわかる時が多数あります。『転ばぬ先の杖』という諺もあり、失敗を避けることもできますが、私は寧ろ子供たちに失敗を避けない選択をします。それはリンゴが剪定されて大成するように、失敗と挫折を沢山経験することにより、子供は強く逞しくそして一回り大きく成長すると私は信じるからです。もう一つ大事な事は、子供が失敗したとき『失敗は成功のもと』だと励ますことです。この事はやがて子供たちの『チャレンジ精神』へと繋がっていくことでしょう。